SCCR(短絡電流定格)とは?その2
更新日:2025年09月08日
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更新日:2025年09月08日
ー対応やUL規格との関係を解説いたしますー 当記事ではSCCRの計算方法から裏技まで詳しく解説いたします。
こちらの記事は、
『SCCR(短絡電流定格)とは?その1 ー対応やUL規格との関係を解説いたしますー』
の続きの内容となっております。
「その1」をお読みいただいていない方はこちらをまずはお読みください!
(バナーをクリックすると「その1」が開きます)
機器(ブレーカー、マグネット等)を使用する場合、
SCCR値は機器の銘板に表示されていることもあります。
機器の銘板に表示がない場合は
メーカーカタログに記載されている場合もあります。
※記載がない場合はメーカへお問い合わせください。
「その1」でもお伝えしていますが、
その定格を超える故障電流が発生した場合、
機器が損傷し、人体および財産に危険を及ぼす可能性があります。
機器のSCCR値は、設置される場所(電源を供給するポイント)における
有効故障電流値以上でなければなりません。
SCCRに対応するために、まずは機械・機器・装置、
盤のSCCR値を算出することが必要です。
米国では、NEC(=NFPA70)において制御盤への
SCCR値記載が設備・機械メーカーの責任として要求されています。
NEC(=NFPA70)のSCCR値の求め方は非常にシンプルです。
主回路に接続されている各種の機器単体のSCCR値の中で最も小さい短絡電流定格が
機械・機器・装置、盤全体のSCCRです。
たとえば、以下の回路構成では各機器の最も小さいSCCR5kAがSCCR値となります。
さらに詳細な求め方に関しては以下のバナーをクリックいただき、
「バスバーユニット」のパンフレット資料をダウンロードのうえP5~6をご参照ください。
(バナーをクリックするとダウンロードページが開きます)
SCCRへの対応でよく発生する問題には以下の2点があります。
➀工場やラインごとにSCCR値がバラバラ
電源供給キュービクルの変圧器と配線によって設置場所までの推定短絡電流が変わるため
工場やラインによってSCCRがそれぞれ違ってしまうということがよく起こります。
➁高いSCCR値要求に対応できる部品がない
日本の制御盤部品メーカーの大半は高いSCCR値に対応した製品を作っていないが、
北米では50kA等の高いSCCRを要求されることも珍しくありません。
制御盤を製作する際には部品を選定して集めるのは
時間も手間も金銭的にも大きなコストがかかります。
以上を踏まえると制御盤単独でSCCR対応を行うのは
非常に難度が高いと言えます。
裏ワザというと少々大げさですが、上記の計算方法以外にも
トランス(変圧器)を使って特定の条件を満たすことで
SCCR値を制御盤に大きく表示できる方法が認められています。
その条件とはトランス二次側の推定短絡電流よりも
トランス二次側の機器のSCCR値が大きいことです。
言い換えればトランス二次側の機器のSCCR値より
トランス二次側の推定短絡電流を小さくできればよいということです。
これにより、分岐回路に使われている機器のSCCR値が小さくても
トランス一次側ブレーカのSCCR値を制御盤に表示することができるようになります。
要は一次側ブレーカのみSCCR値が大きいものを用意できれば
その値で表示可能ということですね。
ここから具体的な計算方法と事例を使って解説します。
トランスの推定短絡電流(ISC)は、インピーダンス(%Z)の逆数に
定格電流(IFL)を掛けることで求められます。
(逆数とは、分母と分子を入れ替えた数。
元の数にかけると“1”になります。3/5の逆数は5/3)
短絡電流(ISC)= ① %Zの逆数 X ② 定格電流(IFL)
①インピーダンス(%Z)の逆数
例)%Z = 3%の場合、 3%=3/100 逆数は、100/3 になります。
② 定格電流(IFL)の算出方法
≪単相の場合≫ トランス容量(VA)÷ 2次側定格電圧(V)
≪三相の場合≫ トランス容量(VA)÷ 2次側定格電圧(V)÷√3
この数式を以下の事例に当てはめてみます。
まずは単相トランスの容量3kVA(3,000VA)を
二次側電圧の100Vで割ります。
定格電流値=3,000÷100=30A です。
そして、トランスのインピーダンス(%Z)を確認します。
今回は2.1%で計算します。
(メーカー提示がない場合は2.1%が引用できます。
布目電機はインピーダンス値の提示が可能です。)
推定短絡電流 ISC = 100/2.1 X 30≒1.43kA ですね。
つまり最小値の5kA(5,000A)を下回るので一次側ブレーカの35kAが
SCCR値として表示できるということになります。
上記の条件に当てはめて、数値さえ満たせば
どんなトランスでもいいというわけではありません。
北米で使用する以上、Industrial control transformer として
ULカテゴリXPTQ2でUL認証されたレコグニション認証品が必須になります。
また、基本的な考え方はシンプルとはいえ、
お客様個別の状況に対し適切な提案やアドバイスがなければ
火災事故や訴訟に繋がることもあります。
実際に当社が調査したところ、ネット上で検索して見つかる資料の中には
危険につながる内容ではないものの、現在では改定されている
古い内容のままのものも散見されました。
布目電機は海外規格対応のスペシャリストとして
常に業界をリードしてきました。
特にUL規格やSCCRの対応には豊富な実績と経験があります。
SCCRに関してお困りの際はぜひ相談先の一つに加えていただければ幸いです。
ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。
(バナーをクリックするとお問い合わせページが開きます)
SCCRの問題を解決する製品も多数展開しておりますので
よろしければぜひパンフレットをダウンロードのうえご参考にしてください。
布目電機では他のメーカーに先駆けて北米UL規格への対応を進めてきた実績があります。
トランス(変圧器)を軸としたSCCRへの対応や独自にUL規格認証を取得したバスバーや
電気機器(ブレーカやMS等)のコンビネーション等を駆使して系統側で要求される
高いSCCR値に対応した製品でお客様の抱えるSCCR対応への問題を解決します。
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、布目電機には4つの事業がございます。
①トランス事業 ②トランスBOX事業 ③トランスユニット事業 ④制御盤事業【電源盤・分電盤】 です。
この中からSCCR対策にピッタリな製品として、
① トランスBOX事業より、Powerful Assistor
② 制御盤事業【電源盤・分電盤】より、UL認証バスバーユニット
③ 制御盤事業【電源盤・分電盤】より、UL508A認証制御盤
④ 制御盤事業【電源盤・分電盤】より、SCCRリミッタ
の4製品をポイントと一緒にご紹介いたします!
ご紹介する4製品は次の製品一覧表を見ていただくと分かるように
お客様の求めているSCCR値によって最適な製品をお選びいただけるのではないでしょうか。
各製品の詳細は以下のダウンロードボタンからパンフレットをダウンロードのうえ
ご確認くださいませ。
布目電機は工場受電設備側の規格である
「UL1062(Unit Substations)」でNEC/NFPA70へ適合させることで
ULリスティング認証を取得。
※UL認証品は現地での不適合、再審査リスクを回避出来ます。
トランスの内部インピーダンスによる限流特性により短絡電流を減少させます。
銘鈑にはUL規格の上位規格にあたるIEEE規格を利用し、
Isc(対称性短絡電流)値を記載します。
さらに詳しく知りたい方は以下のバナーをクリックいただき、
「PowerfulAssistor」のパンフレット資料をダウンロードください。
(バナーをクリックするとダウンロードページが開きます)
布目電機は「UL508A認証工場」です。
量産品はもとよりオーダーメイドでも対応いたしますので、
UL508A規格の要求事項を満たし製作をする事ができます。
出荷時にはUL認証ラベルを貼り付けます。
1999年にUL規格制御パネル工場ライセンスを取得後、
おかげさまで海外規格盤のご依頼をたくさんいただいております。
北米向け制御盤を軸に長年蓄積した製作ノウハウ、技術力を基に高品質な
製品を提供いたします。
「エンクローズドタイプ(自立盤型)」、「オープンタイプ(機器組込みタイプ)」
などお客様のご要望に合わせ種類も豊富にご用意しております。
変圧器を軸とした様々なSCCR対応策の提案が可能です。
UL規格認証取得したバスバーユニットやSCCR対応トランスユニットとセットでの
提案もしており、北米へ輸出する際の強い味方です。
さらに詳しく知りたい方は以下のバナーをクリックいただき、
「UL508A認証制御盤」のパンフレット資料をダウンロードください。
(バナーをクリックするとページが開きます)
また「UL508A認証制御盤」の導入事例も別ページでご紹介しております。
ぜひこの機会に合わせてお読みください!
(バナーをクリックするとページが開きます)
さらに「UL508A規格の基礎知識」についても別ページでご紹介しております。
ぜひこの機会に合わせてお読みください!
(バナーをクリックするとページが開きます)
布目電機が独自にUL規格認証取得したSCCRに対応したバスバーであれば 、
UL508A規格適合を証明する「ULリスティング認証マーク」がつきます。
条件次第では「最大50kVA」まで対応可能なので
現地で要求されるSCCR値の要求を満たすことができます。
「プラグイン式」、「ねじ式」と種類も豊富にご用意しております。
盤の大きさや床の設置面積が小さくなり、省スペース化が実現します。
さらに詳しく知りたい方は以下のバナーをクリックいただき、
「バスバーユニット」のパンフレット資料をダウンロードください。
(バナーをクリックするとダウンロードページが開きます)
また「ユニットサブステーション」の導入事例も別ページでご紹介しております。
ぜひこの機会に合わせてお読みください!
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また「PowerfulAssistor開発秘話」についても別ページでご紹介しております。
ぜひこの機会に合わせてお読みください!
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アメリカ・カナダの工場に屋内設置する低圧電力用のヒューズ付ユニットです。
最大で、SCCR=100kA(製造銘板に表示)までの対応可能。
ピーク通過電流、IP=10kAまで限流させられます。
最大60Aとなります。
標準でTYPE 1,12 対応(製造銘板にTYPE12表示)
オプションでTYPE 4,4X 対応可能
(TYPE 4Xは、エンクロージャがSUSになります)
エンクロージャ保護等級 IP65 相当 ※エンクロージャ=ケース
カナダ向け「cUL508A リスティング」対応可能。
米国NRTLの1つであるETL認証品「UL508A ETL リスティング」対応可能。
さらに詳しく知りたい方は以下のバナーをクリックいただき、
「SCCRリミッタ」のパンフレット資料をダウンロードください。
(バナーをクリックするとダウンロードページが開きます)
SCCRに関する知識をギュッとまとめた内容を
「その2」としてご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事が少しでもお役に立ちましたら幸いです。
SCCRについての課題やお困りごと、その他にもご質問等ございましたら、
お気軽にお問い合わせくださいませ。
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